新型の麻薬「エクスタシー」驚異的な勢いで人々を蝕む

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 アメリカでは今夏だけでもエクスタシーへの対策のために議会が二回召集され、別個に全米から三百人の法律家、ドラッグの専門家を集めての対策会議が行われた。議論の焦点は、罰則規定を重くすることによってドラッグの蔓延が防げるのかという点だ。

 七〇年代、ヘロインを中心としたドラッグの急速な普及に対し、アメリカ政府は厳罰をもって応じた。結果、ドラッグの使用率は劇的に減少したが、同時にマフィアの暗躍、不純物の混合による死亡事故なども相次いだ。

 この経験から、主に医師らを中心とする専門家が唱えるのが「ハーム・リダクション(harm reduction)」という対応策である。禁止してもなんらかの違法な手段でドラッグを入手することが可能であるならば、知識不足や粗悪なドラッグによる害や事故死を減少させるほうが現実的という考え方である。

 この考えを実行にうつす非営利団体「ダンスセーフ」では、エクスタシーの害、危険性を説くとともに、MDMA以外の化学物質やその他のドラッグが混合されたエクスタシーは生命に更なる危険をもたらすという信念のもとに、入手したエクスタシーが本物であるかどうかを匿名で調べる無料サービス、自宅で検査が可能のテスト・キットの販売などを行っている。同団体は前述のレイヴ会場の入り口での無料テストも実施している。